ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)とは
ピロリ菌とは、胃の粘膜に住み着く細菌の一種で、感染すると慢性的な胃炎や胃・十二指腸潰瘍、さらには胃がんの原因となります。日本の胃癌患者のほとんどはこのピロリ菌に感染している、または感染していた方です。ピロリ菌は多くの方が幼少期に感染するとされており、症状がないまま長期間放置されることが多いです。
感染経路は便や井戸水、口を介した接触などが考えられていますが、はっきりとした経路は完全には解明されていません。
ピロリ菌感染の症状
ピロリ菌に感染しても自覚症状はほとんど有りません。しかし、感染が長期化すると以下のような症状が現れることがあります。
- 胃もたれや膨満感
- 胃痛、胸やけ
- 食欲不振
- げっぷや吐き気
症状が軽い場合でも、感染が続くと胃粘膜に慢性的な炎症が起こり、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃がんのリスクが高まります。
ピロリ菌感染症の検査方法
ピロリ菌の感染を調べる方法は、大きく分けて 胃カメラを用いる方法 と 胃カメラを使わない方法 の2種類があります。
保険適用でピロリ菌の検査や除菌治療を行う場合は、胃カメラ検査が原則必須です。当院では、鎮静剤を使用して負担の少ない胃カメラ検査を実施していますので、安心して受診いただけます。
ピロリ菌PCR検査
胃内視鏡廃液(胃液)を使って、胃内に存在するピロリ菌を検出する検査法です。この検査は胃液を使用するため、胃組織の採取が不要であり、安全性が高い特徴があります。
測定時間は約50分であり、その日のうちに結果が得られるため、結果の説明のために再度来院する必要がありません。また、同時にピロリ菌に対する抗菌薬の耐性も調べることができるため、無駄な内服治療を避け、適切な治療を素早く開始することができます。
迅速ウレアーゼ試験
ウレアーゼはピロリ菌の持つ酵素の一つで、尿素をアンモニアに変えてしまいます。ピロリ菌に一度感染すると、ウレアーゼが強アルカリのアンモニアを作り、強酸を中和して持続的に感染範囲を広げます。
迅速ウレアーゼとは、胃カメラ検査によって採取した組織を用いて、ピロリ菌のウレアーゼの活性度合いを調べる検査です。特殊液につけることで起こる色の変化で判定できます。判定時間が短いというメリットがありますが、採取した組織によって偽陰性(ピロリ菌がいるのにいないと判定してしまう)可能性があります。 また除菌後判定には利用できません。
鏡検法
採取した組織をホルマリンで固定し、顕微鏡でピロリ菌の有無を確認します。
培養法
組織を培養してピロリ菌の存在を確認します。結果判定までに1週間ほどかかりますが、菌の種類や抗生物質への感受性を調べられるため、自費診療でより効果的な除菌薬を選ぶ場合に用いられます。
胃カメラを使用しない検査
尿素呼気試験(UBT)
尿素呼気試験法は尿素製剤である試験薬を服用して頂き、服用前と服用後の呼気を見比べる検査法です。ピロリ菌に感染すると、ピロリ菌は自身の生息のために自身が持つウレアーゼという酵素により尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解します。二酸化炭素は呼気として出てくるので、二酸化炭素の量を調べることで感染の有無を調べる事ができます。
この検査は患者様の身体への負担がなく、検査も30分で終わり、精度も高い検査となっています。また、除菌治療後も判定を行うことが可能です。
正確な診断結果を得るため、検査前6時間前には食事を、1時間前には飲水を控えて頂く必要があります。
便中抗原検査
胃に感染したピロリ菌の一部は便中に排出されます。便中の菌を検出することで、感染の有無を確認します。除菌測定の中でも信頼度の高い検査とされおり、事前に食事制限もないので小児でも検査可能となっています。
血清抗体・尿中抗体検査
ピロリ菌に感染すると体内に抗体が作られます。血液や尿に抗体があるかを調べることで感染を推定します。ほかの採血や尿検査と同時に行えるため簡便さがある一方、一度感染すると体内で抗体が作られるため、除菌後の判定にはあまり向いていません。
ピロリ菌の除菌治療
胃カメラ検査で胃炎や胃・十二指腸潰瘍などの疾患が確認された場合、もしくは検査で採取した組織からピロリ菌感染が判明した場合には、健康保険を利用して除菌治療を受けることができます。
除菌治療では、2種類の抗生物質と胃酸の分泌を抑える薬(計3種類)を、通常1週間程度服用します。服薬後、約2~3か月経過してから除菌の効果を確認する検査を行います。
1回目の治療で約8~9割の方が除菌に成功します。効果判定で除菌不成功(ピロリ菌陽性)だった場合は薬の種類を変えて再度1週間の内服を行います(→2次除菌)。2次除菌までで殆どの方は除菌に成功しますが、稀に除菌不成功となる場合があり3次除菌を検討します。3次除菌以降は自費診療となるため医師と相談の上、治療方針をご検討ください。
除菌が成功した場合もも胃がんのリスクが完全になくなるわけではありません。定期的に胃カメラ検査を受け、胃の健康状態を確認することが大切です。
ピロリ菌感染が疑われる方はご相談ください
当院では、経験豊富な医師による鎮静剤を使用して苦痛を抑えた胃カメラ検査を行っています。
ピロリ菌は自覚症状が少ないことが多く、放置すると胃疾患のリスクが高まります。
ピロリ菌感染の有無は呼気・便・血液・胃カメラなどで確認可能です。除菌治療により胃炎や潰瘍の改善、胃がんリスクの低減が期待できます。特に40歳以上の方や胃炎・潰瘍の既往がある方、ご家族にピロリ菌感染者、胃がんの方がいらっしゃる場合は、早めの検査をおすすめします。